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発行国：イギリス発行年：2021年国王：エリザベス2世額面：1000ポンド素材：銀重量級銀貨上に浮かび上がる「クイーンズビースト・コレクション」の全貌 2017年の「イングランドのライオン」のリリースによってコインファンの心を掴み、瞬く間にモダンコインの傑作群の仲間入りを果たした「クイーンズビースト・シリーズ」。同シリーズ全10作品に描かれていた実在と架空の動物たちは、過去800年以上もの長きにわたって英国王室の居住空間を彩る紋章として歴代君主によって重用されてきた由緒正しきものです。それぞれの動物が歴史上に実在したある王族か王室に近い貴族にまつわる来歴を有しており、興味深いエピソードと共に記憶されています。例えば「ハノーヴァの白い馬」は、1714年に英国王として即位したゲオルク・ルートヴィヒの実家であったハノーファー選帝侯家に代々伝わる馬の紋章をそのルーツとするものであり、その即位に際して英国王室の正式な紋章として認可されました。同シリーズの成功を決定づけた要因として、デザインを手がけた名デザイナー、ジョディ・クラークの洗練された趣味の良さと現代的感覚が織り成す作品そのものの魅力がまず挙げられるべきではないでしょうか。「イングランドのライオン」に続いて「スコットランドのユニコーン」、「ウェールズの赤いドラゴン」を発表し、大成功を収めたクイーンズビースト・コレクションですが、個々の作品にクラーク氏の個性が宿っており、そのどれをとっても甲乙つけがたいものばかりです。それらの中でも「リッチモンドのグレイハウンド」は、古来英国人にとっての狩猟の友であった猟犬が描かれた唯一の例であったことからとりわけ人気が高く、実際の人気に見合う高いデザイン性を特徴とする出来栄えを誇る作品でもあります。全10種の動物のデザインによって完結したかに思えた同シリーズでしたが、それらの後にその最終章として「完全版＝コンプリ―ター」がリリースされ、世界を驚嘆させました。全10種の動物を一枚のコイン上に網羅するその斬新な意匠は引き続きジョディ・クラークに一任され、その磨き抜かれた芸術性を反映しています。今回ご紹介させていただく作品は、コンプリ―ターの特別仕様品であり、1000ポンドの高額額面を持つ2キロの重量級銀貨です。ここまで大きな銀貨ですとやはり見応えがあり、今やモダンコインの伝説と化している名デザインを心から堪能することが可能かと思われます。裏面に連なる全10種の動物たちの紋章の中央には、これもまた偶然にもジョディ・クラークの最高傑作と謳われる「エリザベス2世の第5公式コイン肖像」が見られ、これらの動物たちのかつての所有者の権威を表出しています。そしてコイン表面に描かれているのも同じく第5肖像であり、当作品に限っては同じ肖像が両面に描かれていることになります。ジョージ4世ゆかりの「ステート・ダイアモンド・ダイアデム」を頭上に戴くエリザベス2世の晴れ晴れとした表情は圧巻であり、今や英国貨幣界を代表する名コインポートレートとしての絶対的地位を確立しています。2022年9月8日に万人に惜しまれつつ崩御されたエリザベス2世ですが、この「コンプリ―ター」こそは70年間に及んだ女王の栄光の在位期間を何よりも象徴するモダンコインの大作として、永遠の輝きを保持するものです。 【関連キーワード】 ギフト 現物資産 資産保全 投資 コイン